立命館大学言語教育情報研究科同窓会報への寄稿原稿

立命館大学言語教育情報研究科修了生の水本篤です。研究科の第一期生で、2003年から2005年まで在籍していました。現在は,関西大学外国語学部・外国語教育学研究科で教授をしています(http://mizumot.com/)。私の研究対象領域は、コーパスの教育利用、言語テスト、学習方略です。関西大学では学部、大学院の修士課程のゼミを担当し、博士課程の担当も2020年から始まります。新しい世代の研究者・実践者を育成することに携わることができるのが、現在の大きな喜びです。

振り返って考えてみると、現在の私の研究者としてのキャリアは、立命館大学言語教育情報研究科での学びがなければ、あり得なかったと思います。私が言語教育情報研究科に進学した理由は,言語テスト理論を清水裕子先生の元で学びたいと思ったからでした。元々、語彙の学習・指導に興味があったため、修士論文では語彙サイズテストの開発と妥当性検証を行いました。また、当時の研究科はコーパス研究で著名な先生方にご指導いただくことができたため、そのような恵まれた環境でなければ学ぶことができなかったであろう、多くのことを学ぶことができました。

このように、言語テスト理論だけではなく、コーパス研究の手法を学べたことが、自分の研究者としてのキャリアにおいて、重要なバックボーンとなりました。修士課程修了後は、博士課程を関西大学外国語教育学研究科で行うことになり、語彙学習方略の研究で博士論文を執筆し、博士号を取得しました。(ちなみに、言語教育情報研究科在籍時に私が唯一“B”を取ったコースが「学習方略」でした…)

私が院生だった当時の言語教育情報研究科は創設されたばかりで、手探りな感じもあり、同期の院生のみなさんとも助け合いながら学んでいこうという雰囲気がありました。同期の院生の多くの方が、経験豊富な中高の現職教員であったことも特徴的で、先生方から学ぶことが多かったことを覚えています。その中に若い院生のみなさんが混ざることにより、経験や年齢にかかわらず、少しでも多くの新しいことを学ぼうとする姿勢が全員から感じられ、非常に刺激的な学びの場でした。

当時のあのドキドキする感覚は、言語教育情報研究科を修了して10年以上経った今でも鮮烈に思い出すことができます。実は、ご縁があり、2019年の秋学期から、「応用言語学のための統計解析」というコースを言語教育情報研究科で教えることになりました。本務校の関西大学では、ゼミやその他の授業に加えて、学部執行部の入試主事を担当しており、非常に忙しい日々を送っているので(あと、住んでいる大阪市内から衣笠キャンパスはとても遠いので)、はじめにお話を頂いたときにはお断りしようと思ったのですが、自分が言語教育情報研究科の院生だったときの数々の良い思い出が後押しする形となり、お引き受けすることにしました。そんな経緯で、週に1回、有心館の2階の情報教室で、あのときの私やみなさんと同じように、新しいことを学ぶドキドキと喜びを持った言語教育情報研究科の院生を指導しています。

またみなさんとも同窓会などでお会いして、お話させていただくのを楽しみにしています。

「AWSuMツアー2017」

 

もう15年以上前の話ですがバンドをやっていましたこういうアルバムを発売したら,全国のライブハウスをツアーして宣伝するという,「曲作り => レコーディング => アルバム発売 => ツアー」という流れの活動を数年間やってました。

現在では畑がガラッと変わって,大学で研究をやっていますが,「研究の構想を立てる => データ収集と分析 => 発表 => 論文執筆 => 論文出版」という流れは,形態は違うけど何かを作って発表するという部分はなんだか似ているなぁ,なんて思いながらやっています。(注:実際似ている

昨年からは,AWSuM (Academic Word Suggestion Machine) に関連した研究にかなりの時間を使っていて(Special thanks to VERSION2 大西さん),英語コーパス学会奨励賞をいただいたり,2017年4月から2020年3月の3年間の予定で科研費の基盤研究(B)に採択されました。

また,先月には Language Learning に論文がアクセプトされました。

6月からは,AWSuMで何ができるかをを紹介するワークショップや講演、そして学会発表が立て続けに予定されていて、個人的には「AWSuMツアー2017」という感じになってます。

ツアーの予定は以下です。ご興味のある方は、ぜひライブハウス学会会場にお越しください。直接お話させていただくことを楽しみにしています。

AWSuM v1.10 released

Im excited to announce the release of the updated version of AWSuM.

With this update, it is now possible to (1) search the left of the target words (1L to 3L). And if you use an asterisk in the search, (2) AWSuM shows you the words used in the place of the asterisk. You can also generate (3) concordance lines to examine how words are used in context. Isnt it awesome or what?

newawsum

For those of you who dont know what AWSuM is, heres the introductory video.

The complete manual will be available in a few weeks.

「職業としての研究者」

 

長い引用ですが,村上春樹の『職業としての小説家』(2015) から。

pp. 26–27
「というわけで僕は,長い年月飽きもせずに(というか)小説を書き続けている作家たちに対して—つまり僕の同僚たちに対して,ということになりますが—一様に敬意を抱いています。当然のことながら,彼らの書く作品のひとつひとつについては個人的な好き嫌いはあります。でもそれはそれとして,二十年,三十年にもわたって職業的小説家として活躍し続け,あるいは生き延び,それぞれに一定数の読者を獲得している人たちには,小説家としての,何かしら優れた強い核(コア)のようなものが備わっているはずだと考えるからです。小説を書かずにはいられない内的なドライブ。長期間にわたる孤独な作業を支える強靭な忍耐力。それは小説家という職業人としての資質,資格,と言ってしまってもいいかもしれません。

小説をひとつ書くのはそれほどむずかしくない。優れた小説をひとつ書くのも,人によってはそれほどむずかしくない。簡単だとまでは言いませんが,できないことではありません。しかし小説をずっと書き続けるというのはずいぶんむずかしい。誰にでもできることではない。そうするには,さっきも申し上げましたように,特別な資格のようなものが必要になってくるからです。それはおそらく「才能」とはちょっと別のところにあるものでしょう。

じゃあ,その資格があるかどうか,それを見分けるにはどうすればいいか?答えはただひとつ,実際に水に放り込んでみて,浮かぶか沈むかで見定めるしかありません。乱暴な言い方ですが,まあ人生というのは本来そういう風にできているみたいです。それにだいたい小説なんか書かなくても(あるいはむしろ書かないでいる方が),人生は聡明に有効に生きられます。それでも書きたい,書かずにはいられない,という人が小説を書きます。そしてまた,小説を書き続けます。」


 

ちょっと違うところもあるけど,小説を「論文」,小説家を「研究者」に置き換えると,「職業としての研究者」(特に文系研究者)がやっていることに近くなる。

 

複数の Mac での Mendeley ライブラリと Dropbox(pdf)の同期

 

ずっとやりたかったこと

Mendeley を使い始めて6年ぐらいになりますが,ずっとやりたかったけどできなかった,Mac 1 <—> Dropbox(論文 pdf ファイル) <—> Mac 2, 3… という同期。

同期イメージ

とにかく,どの Mac で開いても,同じ Mendeley ライブラリの情報(←これは当たり前にできる),そして Dropbox に保存している該当論文 pdf を開くことができるようにしたい(←これができなかった)。

英語でも日本語でも検索してみるとそういうニーズはあることがわかります。

「難しい設定は何もしなくても,Mendeley の File Organizer を同じDropboxのパスにして,設定も同じにしておけば勝手にできますよ」的な都市伝説もあったりするけど,なかなかそんな簡単にはいかないです。

本当に一番簡単な方法は,Mendeley の有料プラン web space を使うことです。毎月$4.99払えば5G まで,$9.99払えば10GB までは Web 版の Mendeley とすべての Mendeley Desktop で pdf の同期もできます(月$14.99だと無制限)。でも,私は Dropbox を有料プランにしているため,なんだかもったいない気がして,「どうにか Mendeley は無料のままでできないかな」と思いつつ,はや数年…

そして重たい腰をあげ試行錯誤の末,今日やっと同期できるようになったのでメモ。

基本的には,ここに書いてある方法で問題ありませんでした。

環境は,OS X El Capitan バージョン10.11.3,Mendeley Desktop バージョン1.16.1です。

#1 Dropbox の設定

Dropbox の中に,Mendeley というフォルダを作り,その中に db と pdf というフォルダを作ります。論文の pdf ファイルは pdf フォルダの中に入れておきます。

dropbox

 

#2 すべての Mac の Mendeley Desktop の設定

どの Mac の Mendeley でも,Mendeley Desktop > Preferences > File Organizer で,以下のように Dropbox の Mendeley というフォルダの中に論文 pdf ファイルを入れるフォルダを作ります。

mendeley

そして,どの Mac でも,/Users/<<Your User Name>>/Dropbox/Mendeley/pdf というパスになるように(<<Your User Name>>は自分のユーザー名が入る),”File Organizer” の設定をすべての Mac で同じにします。”Watched Folders” は(いらんことをするので特にうまく使えてない場合は)設定しないほうがよいと思います。

 

#3 母艦 Mac の設定

ターミナルを起動(アプリケーション > ユーティリティ > ターミナル.app)し,以下を1行ずつ入力(コピペで OK)。”Application\ Support” の \ はメタ文字のエスケープで,半角スペースを示します。


cd ~/Library/Application\ Support
cp -r Mendeley\ Desktop/ ~/Dropbox/Mendeley/db/
mv Mendeley\ Desktop/ _backup_Mendeley_Desktop/
ln -s ~/Dropbox/Mendeley/db/Mendeley\ Desktop .
(←ピリオド含む)
[2016.12.23追記] この最後の行でシンボリックリンクを貼った後に,mkdirで空のフォルダを~/Dropbox/Mendeley/dbに置かないと,エラーになります。(初回の場合はそのフォルダがないため。)

それぞれの行でやっていることは以下です。

  1. Library の中の Application Support フォルダに移動。
  2. Library の中の Application Support フォルダにある,Mendeley Desktop の内容を,Dropbox の Mendeley フォルダの中に作成しておいた,db にコピー。
  3. backup_Mendeley_Desktop というフォルダを Library の Application Support の中に作り,Mendeley Desktop のバックアップファイルを作成(これで Mendeley Desktop はなくなる)。※ もし,Mendeley が開かなくなったりした場合は,Mendeley Desktop というフォルダを Library の中の Application Support に再度作成し,_backup_Mendeley_Desktop フォルダの中身をコピー(移動)すれば大丈夫。
  4. Library の Application Support の中に,Dropbox > Mendeley > db にある,Mendeley Desktop のエイリアス(alias)を作成する。

 

#4 その他の Mac の設定(2台以上でも可能)

ターミナルを起動(アプリケーション > ユーティリティ > ターミナル.app)し,以下を1行ずつ入力(コピペで OK)。


cd ~/Library/Application\ Support
mv Mendeley\ Desktop/ _backup_Mendeley_Desktop/
ln -s ~/Dropbox/Mendeley/db/Mendeley\ Desktop .
(←ピリオド含む)

それぞれの行でやっていることは以下です。

  1. Library の中の Application Support フォルダに移動。
  2. backup_Mendeley_Desktop というフォルダを Library の Application Support の中に作り,Mendeley Desktop のバックアップファイルを作成(これで Mendeley Desktop はなくなる)。
  3. Library の Application Support の中に,Dropbox > Mendeley > db にある,Mendeley Desktop のエイリアス(alias)を作成する。

 

実は考え方はいたってシンプル

  • 母艦 Mac の Mendeley Desktop の内容を,Dropbox の db フォルダに移す。
  • 母艦 Mac のもともと Mendeley Desktop フォルダがあった場所には,Dropbox の db フォルダに移した Mendeley Desktop のエイリアスを置いておくことにより,母艦 Mac の Mendeley は常に Dropbox 内のデータベースを利用することになる。
  • その他の Mac でも,Mendeley のデータベースは,常に Dropbox を参照する設定にすることによって,すべての Mac でデータベースの同期を可能にしている。
  • 結局は,Dropbox にデータベースも pdf も両方置いている。

これによって,Mendeley > pdf フォルダに追加される論文ファイルは,必ずどの Mac でも見ることができるし,pdf に入れたハイライトや下線ももちろん共有されます。環境によって,pdf が添付されてたり,されていなかったりということがこれまでありましたが,これで,いちいちファイルを Dropbox の Mendeley フォルダで探す手間が省けるので,だいぶ快適になりました。

ただし,iOS では pdf は同期されないので,以下のように特定のフォルダを Mendeley のライブラリで作って,そのフォルダ内の pdf は同期するように設定するというような工夫が必要です。

customize

 

Mac 以外の場合

Windows でのやり方(はたぶんですが)はこちら

Android で Mendeleyと連携したい というものもありました。

異なる PC での同期はだいぶやっかいそうですね。

とりあえず,Mac なら問題なくできます。
春ですので Mac を買いましょう。

 

AWSuM – Academic Word Suggestion Machine

英語論文執筆サポートツールを開発、公開しました。無料です。現在は応用言語学のみですが、他の分野も今後対応予定です。

We have developed a web-based writing support tool, which suggests most frequent 4-grams based on the sections and moves (rhetorical functions) of a research article. It is called AWSuM – Academic Word Suggestion Machine. At the moment, our database covers only the field of applied linguistics. But we will include other disciplinary fields in the future. Take a look at the introductory video. You will agree AWSuM is pretty awesome!