いくつかある Grammar Checker は、どれを学習者にすすめるか悩ましいところです。
Grammarly は2009年にリリースされユーザーも多いため、研究論文でもたくさん報告されているのですが、無償のニューラル機械翻訳サービスとして人気の高い DeepL も、DeepL Write を2023年1月にリリースしました。今回はこれに加えて、Quillbot AI の Free Grammar Checker を比較して、どれが個人的におすすめかをまとめます。
使用したのは、以下の学習者が書いた文法ミス(というか不自然な表現)が含まれている英文です。
If they do not do part-time jobs, they are hard to live on their own. Also, some students will take driver’s licenses. To take the licenses, generally, it costs about three hundred thousand yen. This is not a cheap amount of money, and for that reason, it is not a good idea to rely on their parents, it would be better to earn it themselves.
まずは、Grammarly無料版。
Grammarly 無料版はエラーの箇所を下線で教えてくれますが、どのように直すかは、Premium(有料版)を利用しなければわかりません。
というわけで、Grammarly Premium(有料版)。
しっかりと言い換えとその理由を提示してくれます。さすがなかなかお高い有料版。Grammarlyの有料版と無料版の違いについての詳しい説明はこちらがわかりやすいです。
ただ、take driver’s licenses のような不自然な語の選択ミスはスルーされていたりします。
次に、DeepL Write。
DeepL Writeは無料なのですが、言い換えまで提案してくれます。なかなか良い仕事をしてくれているのですが、最後の方の代名詞は間違えた訂正がされています。
最後に Quillbot AI の Free Grammar Checker。
こちらも無料のツールなのですが、言い換えが他のツールと比べて大変精度が高いです。あと、他のツールではスルーされていた、take driver’s licenses の take に下線が入っていて、「get のほうがいいですよ」と提案してくれます。
Quillbot は Paraphrasing Tool のほうがよく知られていて、私も普段から論文を書くときに使っていますし、学生にも授業で紹介することが多いのですが、Free Grammar Checker の性能の高さに気づいてからは、アカウントを作ったり有料じゃないと十分な修正が得られないGrammarlyよりも、こちらをおすすめするようになりました。
DeepL Write と比べても優れている印象ですが、DeepL Write もアップデートされていくといい勝負になるのではないでしょうか。
今回紹介した3つのツール以外にも、たくさん無料・有料の Grammar Checker は存在しており、これまでいろいろと試してきたのですが、どれもこの3つ以上のレベルではないと思います。もし、さらに良いツールをご存知でしたら教えてください。
ちなみに、今回比較に使用した同じ英文を ChatGPT で「文法を直してよりアカデミックに書き換えて」と指示したものがこちらです。
もう別物ですね… あと、もともとの英文が何が不自然だったのか、気づきにくいと思います。ChatGPT は修正が明示的ではない分、学習者側の気づきが起きにくいのかもしれません。
ChatGPT は言い換えや、表現のバラエティーを増やすのに向いていて、文法のエラーに気づかせるためには Grammarly のようなツールのほうが向いているという感じでしょうか。自分で指導するときには、目的に応じて紹介・使用するツールも変えるようにしようと思います。