Silvia, P. J. (2007). How to write a lot: A practical guide to productive academic writing. Washington, DC: American Psychological Association.
感動。
この本はどこで情報を仕入れて購入したのか覚えてなかったので,”A practical guide to productive academic writing” という副題から,よくありがちなアカデミック・ライティングの how to 本(精神論を含む)かと思って読み始めたのですが,面白過ぎて2日で読み切ってしまいました(全149ページの薄い本です)。
学術論文や研究助成申請書などを書かなければならない研究者や院生で,以下の項目に1つでも当てはまれば,この本を読む価値があると思います。
(1) 英語でも日本でも何か(論文・研究助成申請書など)を書くのがつらい。
(2) 書く時間がない。まとまった時間が取れたら書こうと思っている。
(3) 書く事に関しては才能がないと思っている。
(4) インスピレーションが湧かないと書きたくない。
(5) 書いていると書けなくなるスランプ(writer’s block)に陥る。
(6) 論文を投稿してリジェクトされるのがこわい。
(7) 家族や友人との時間,趣味の時間,睡眠時間を確保したい。
あまりに感動したので,詳細をブログにまとめようと思ったのですが,2007年出版の本で,しかもいろんなところで好評であることからも,以下のように日本語でも英語でも内容をまとめてくれているものが結構あります。
<日本語>
心理学者が教える少しの努力で大作を書く/多作になるためのウサギに勝つカメの方法 | 読書猿Classic: between / beyond readers
How to Write a Lot (いかにして多く書くか)| A Day in the Life
<英語>
内容のまとめ [pdf]
How to write a lot | The Thesis Whisperer
How to Write a Lot | Arunn Narasimhan
【いくつかメモ】
- 書く作業が簡単なわけがない。誰でも精神的にしんどい。
- 書くことは才能ではなくスキル。
- 書く時間を意識的に取ることがすべて。
- 書く時間を授業をしている時間と同じと考える。授業中は他人からの邪魔はされないのだから書く時間も同じであるべき。
- その時間はもちろんインターネットにもつながない。必要なことは後からする。
- 週4時間だけそのような時間を取るだけでも劇的に変化が起こる。
- 分析や書くために読む作業もその時間帯にする。
「書く時間がない」というのは,こちらを思い出しました。
この歳になって気づいたことですけれども、「まとまった時間」はもう永遠にやってこないのです – KogoLab Research & Review (id:kogo) http://t.co/rEpuJZOHHB
— 向後千春 (@kogo) 2014, 4月 4
これまでは,出来る限り研究に時間を割くために,四六時中,何か研究に関することをしようとしていましたが,それでは,(モチベーションを掻き立てる小人が天から降りてくるのを待つことも多く)書く作業が後回しになってしまい,締切のあるものにしか優先順位をつけられず,かけた時間のわりにアウトプットが少ないというのが悩みでした。
しばらく,平日の授業のない時間帯に「書くことだけ(もしくはそれに関係のあることだけ)をする時間」を作って,どのような変化が起こるか試してみたいと思います。これまで10日程度試したところ,かなり満足できていますし,平日の夜や週末はできるだけ家族とすごす時間(家事含む)を,これまで以上に余裕を持って楽しめるようになってきたように思います。
ただし,今後は平日の「書く時間」に業者が研究室のドアをノックしたり,内線に何か連絡がかかってきても,授業と同じ時間帯ですから,私の「書く時間」を優先しますので悪しからず。(それはこれまで通りのような気もしますが…)
最後に,この本の著者による講演。