今回の発端はこういうつぶやき。

実用英語技能検定(英検)2025年第1回(1次試験は6月実施)のから2級と準2級の間に「準2級プラス」が導入されました。
英検としては31年ぶりに新たな級が作られたということです。(それを聞いて、私が高校生ぐらいのときに準2級ができて、周りがざわついていたことを思い出しました。)
英検の「準2級プラス特設サイト」には、「準2級プラスの導入で目指すこと」として、以下の内容が書いてあります。
準2級と2級の間にある高い壁を乗り越えるために
受験者や先生方から「2級は全然別物」という言葉をよく聞きます。特に先生方からは「2級は実用的に英語を使う力を求めている」、「生徒が能動的な学習者になることが重要」、「生徒たちが学んできた成果を段階ごとにしっかり評価し、生徒たちの小さな成功体験を積み重ね、継続的な学びにつなげていきたい」との声をお聞きしています。そこで、準2級と2級の間にある高い壁を乗り越えるためのステップとして、準2級プラスを新設し、英語学習者の能力に合わせたステップアップを可能にしました。
そして、ふと思いました。「英検準2級プラスって、2級よりも簡単で準2級よりも本当に難しいのだろうか?」と。
そこで今回はアルク社の “新SVL12000リスト” を使って、語彙の難易度(レベル)を比較してみました。
分析に使用したのは、私が2024年8月頃に作成・公開した、New SVL12000 Profiler です。この分析アプリは生成AI(Llama)が組み込まれていて、LexiTracker の開発の基にもなっていて、自分で言うのも何ですが、なかなか良いツールです。でも、あまり利用されておらず(1日20-30アクセス程度)、誰も褒めてくれないので、今回は宣伝を兼ねて使いました。
分析データ(英検2025年第1回)
- 英検2級
- 英検準2級プラス
- 英検準2級
- 英検3級
この4つの級の問題とリスニングスクリプトを対象にしました。(選択肢や問題番号は削除して分析しています。)
なお、ライティングの解答サンプルは分析の対象としていません。
そして、New SVL12000 Profiler でそれぞれの級の問題とリスニングスクリプトを1つずつ分析し、カバー率を確認しました。
可視化は Claude に手伝ってもらいました。結果の詳細はこちらをご覧ください。https://claude.ai/public/artifacts/16f5b77d-e16b-44c2-a8bd-46365199a75b
以下は1つめのグラフだけ抜粋。

絶妙なラインで「英検準2級プラスは準2級よりも難しく2級よりも簡単」という結果になっていることがわかります!
ちなみに、7,000語 (Level 7) レベルで一瞬、2級よりも準2級プラスが難しくなっている(より多く難しい単語が使われている)ところがあるのですが、これは準2級プラスの英文の中に polar bear の話題が出ており、以下のように Level 7 の polar が何回も使われているせいです。(このような確認も New SVL12000 Profiler では可能です。)

結論:絶妙なラインで「英検準2級プラスは準2級よりも難しく2級よりも簡単」と言えそうである。
作問者(英検)はすごいですねー。こういうのは偶然ではできないので、きっと語彙のレベルも調整しているんでしょう。
あと、英検準2級以上を目指す学習者のみなさんは、アルク社の教材はこういう最近のものだと新SVL12000準拠になっているはずですので、New SVL12000 の3,000語 (Level 3) 以上を頑張って覚えましょう!
(ちなみに、私はアルク社から宣伝費用はもらっていません。欲しいけど。)